堀込泰行ライブの感想|この星に降りたエイリアンの夜をレポート

    堀込泰行ライブ
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    2017年3月25日(土)福岡イムズホール。

    この日は、元・キリンジのボーカリストである堀込泰行のアルバム『One』発売記念ライブ ”HORIGOME,YASUYUKI LIVE TOUR 2017” が行われました。

    後に堀込泰行氏が THE NEW SHOSE とグループ化して名付けるほど、個性的なサポートメンバーを率いてのライブツアー。

    『One』の楽曲を全て会場で楽しめるという贅沢な内容に加え、予想もしていなかった驚きの選曲が会場を熱気と感動で包んだのでした。

    ファンの”ヤス愛”溢れる声援と拍手が渦巻いたライブの様子を、セットリストの楽曲紹介も織り交ぜつつ綴ることと致します。

    目 次

    堀込泰行ライブツアー

    ツアーサポートメンバーとセットリスト

    ツアーサポートメンバー

    • Ba/Cho 沖山優司
    • Key/Cho 伊藤隆
    • Dr/Cho 北山ゆうこ
    • Gt/Cho 松江潤
    • Cho/Per 真城めぐみ

    セットリスト

    SE 「buffalo」

    1. 「Wha Wha Wha」
    2. 「Jubilee」
    3. 「涙にあきたら」
    4. 「New Day」
    5. 「バースコーラス」
    6. 「エイリアンズ」
    7. 「アメリカンクラッカー」
    8. 「Shiny」
    9. 「カメレオンガール」
    10. 「Round and Round」
    11. 「クモと蝶」
    12. 「サイレンの歌」
    13. 「ポップコーン」
    14. 「さよならテディベア」
    15. 「クレイジーサマー」
    16. 「最後の週末」
    17. 「ブランニュー・ソング」
    18. 「僕らのかたち」
    19. 「季節の最後に」EC1,「Waltz」
      EC2,「銀砂子のピンボール」

    堀込泰行ライブの様子と楽曲解説

    ライブの幕開け

    照明が消え、ざわざわとした会場に期待と興奮が走ります。

    SEの「buffalo」が流れ、サポートメンバー登場と共に拍手が沸き起こる中、最後に現れた堀込泰行氏。
    歓声と大きな拍手が彼を包みます。

    1曲目の「Wha Wha Wha」が始まり、一気に証明が明るくなりました。

    キリンジ脱退から約3年半ぶりとなる、オリジナルアルバムのツアーにはもって来いの楽曲です。

    パタパタと落ち着かないようなドラムから始まるこの楽曲は、特に歌詞の内容が、このライブを見に来ている観客や泰行氏のニューアルバムを楽しみにしていた人達の為に書かれたと思わせるような内容であります。

    ここでライブのテンションは一気に上がります。

    続けて2曲目の「Jubilee」へ。

    おそらく、ツアー前にネットの動画で泰行氏が語っていた、 ’最近したいい買い物’と予想されるエフェクターの『HOT CAKE』の歪んだ音色が特徴的です。

    音源でも表現されていた、”ヘタ上手”なギターが存分に楽しめるのは、ライブならではと言えるのではないでしょうか。

    実は堀込泰行氏の天才メロディーメーカー振りが見られるのは、ボーカリストとしてだけではないのです。

    彼は、ギターのメロディーセンスも抜群であり、また、穏やかなように見えて、ロッカー気質であることを感じさせるパッションの熱いギタリストなのです。

    ライブでは「Jubilee」の間奏・アウトロのギターソロが、ギャンギャンと大音量で奏でられました。

    そして3曲目の「涙にあきたら」
    この楽曲はキリンジ時代の隠れた名曲です。

    ピアノの音と泰行氏の歌声で始まる楽曲にて、一気に会場の空気感が変わるのです。

    熊本地震で被災した筆者は、避難生活の間、 祈りのような暖かいこの楽曲に助けられたので、目頭がとても熱くなりました。

    サポートメンバーのコーラスもとても綺麗でした。

    MCを挟み、アルバム『One』から「New Day」

    パワフルでセンスのあるドラムとベースの絡みがなんとも心地よいです。

    都会的で陽気さがあり、お酒好きである泰行氏ならではの酔いどれでゆる~い楽曲。
    ライブであるとサビの部分なんかは、つい口ずさみたくなるメロディーです。

    5曲目はクチロロとの共作である「バースコーラス」

    韻を踏んだ大人っぽい歌詞が綺麗であり、雰囲気も泰行氏の歌声にとても合う楽曲の一つではないでしょうか。

    泰行氏はMCでの楽曲紹介にて、「サイトに会員登録をすると聞く事が出来ます」と言い、笑いを誘いました。

    ここから始まった、エイリアンズ LOVERSバージョン

    6曲目。
    キリンジの代表曲というイメージが強い故、もうライブでは二度と聴くことが出来ないと思っていた楽曲が披露されたのです。

    アコースティックギターの不思議な和音の裏打ちから始まったこの楽曲。

    一体何の楽曲だろうかという静けさで会場は包まれます。

    そして他の楽器が入り、イントロが始まってもまだ分からず、ようやく歌いだしに入るも自分の記憶を一瞬たどりました。

    あの名曲「エイリアンズ」です!

    素朴で悲しげのあった原曲からはガラッと変わったアレンジで新しくなった「エイリアンズ」だったのです。

    これには歓声と拍手が起こりました。

    エレキギターとピアノが、とても綺麗でアダルティーな雰囲気を作ります。

    イントロとなっていた有名なフレーズは、間奏のギターソロのみの一回となっており、かなりハイセンスでたまらないアレンジで披露されました。

    その様子は、生きている楽曲を聴いているような感覚に陥らされるのでした。

    そんな「エイリアンズ」の余韻を残しつつ、次に披露された楽曲は、キリンジ時代セルフプロデュースアルバム『DODECAGON』から「アメリカンクラッカー」

    エレクトロなサウンドはシンセで表現されていました。

    生音であの音源が再現化されることに、ツアーサポートメンバーのスキルの高さが窺えます。

    また、「アメリカンクラッカー」では、一番良い所でギターがハウリングを起こし、ライブ感を楽しませてくれました。

    8曲目、アルバム『One』から、心地よいピアノのイントロで始まる「Shiny」が続き、9曲目にスネアのワン・ツーで始まる「カメレオンガール」

    切ない歌詞とは裏腹なレゲエ調で陽気に弾む楽曲に、照明は七色に彩られます。

    筆者は「カメレオンガール」の、Cメロが特に好きなので、生で聞いていた時、顔が思わずニヤついてしまいました。
    その部分を歌っている泰行氏の歌声は、何とも可愛く思えてしまうのです。

    また、少しおどけたようなコーラスが面白くて、センス抜群です。

    それから、少し殺伐とした雰囲気の「Round and Roundへ。
    舞台の照明は真っ赤へと変わります。

    この楽曲もキリンジ時代の隠れた名曲であり、泰行氏も結構お気に入りだった様子です。

    11曲目は、馬の骨時代の代表曲とも言える「クモと蝶」

    綺麗なピアノのループを土台に楽曲が展開していく、正に、さなぎから蝶に変わり飛んでいく様子が描かれたような楽曲です。

    間奏のギターソロは、ため息が出るほど美しいフレーズであります。

    ライブでのギターソロは十分な音量でしたが、もう少し大きな音で聞けると大満足だったという、筆者のわがままが心残りでした。

    そして12曲目の壮大な楽曲に少ない言葉で歌われる、「サイレンの歌」

    サポートメンバー全員が歌っており、かなり分厚いコーラスワークとなっていました。

    掘込泰行氏のギターに観客が立ち上がる

    13曲目、ベースの坦々としたルート弾きから始まります。
    これは「エイリアンズ」よりも予想にしていなかった選曲でした。

    10年以上前にもなるキリンジ時代のアルバム『Fine』から「ポップコーン」

    左利きの野球選手をテーマに歌ったこの歌で会場も盛り上がりました。

    ホール会場だったので観客は全員座って見ていましたが、ある部分で糸が切れたように最前列の観客が立ち上がります。

    それは泰行氏のギターソロです。

    ホールは、ギターソロにしびれを切らして立ち上がった観客と座ったままの観客とに分かれ、なかなか見ることの出来ない不思議な光景となりました。

    筆者も「ポップコーン」は泰行氏の楽曲の中で一番好きなので、よっぽど立ち上がりたく思いましたが、アルバム『One』のツアーということもあり、次の14曲目、アルバム『One』からの楽曲「さよならテディベア」のイントロで立つことにしました。

    「ポップコーン」は途中で立ち上がったお客さんの様子も含めて、この日のライブで最も興奮した場面となりました。

    そして、「さよならテディベア」は、これまた筆者がアルバム『One』の中で一番好きな楽曲であります。

    言いたいことをもごもごと喋っているようで、その言いたいことが徐々に明確に言葉になり声も大きくなる、といった印象を受ける楽曲です。

    サビに入っていたホーンの音は、ライブでは歪んだギターで表現されており、少しロックなテイストへとカッコよく変化していました。

    二つのサマーソング

    15・16曲目に、キリンジ時代の楽曲「クレイジーサマー」と、アルバム『One』から「最後の週末」が披露されます。

    「クレイジーサマー」は、青春の何かに溺れていく様子が夏の夕暮れの様子と共に描かれた、だらしないメロディーが美しい楽曲です。

    そして、それを打ち砕くかのように、高く晴れ渡った夏の空のようなイントロで始まる「最後の週末」へと続きます。

    いよいよライブも後半へと差し掛かってきました。

    「最後の週末」の高揚感溢れるサビのメロディーには、泰行氏の天才ぶりが感じられます。

    続いては17曲目「ブランニュー・ソング」
    キリンジ脱退後、堀込泰行として一番最初に配信された楽曲です。

    活気的なホーンの音色が、当時の彼自身を元気づけているかのように響きます。

    丁寧に爪弾かれるギターに、たっぷりと間の取られた歌のメロディーが、聴けば聴くほど心地良いのです。

    ’この時間がいつまでも続いてほしい!’と思わせてくれる、ニクイ曲順でありました。

    堀込泰行ライブツアー
    暖かい空気感で終わりをむかえる

    18曲目は、アルバム『One』から「僕らのかたち」が披露されます。

    余計なものが一切ないような シンプルなこの楽曲は、ある時突然良さが分かるような名曲と言えるのではないでしょうか。

    本編ラスト2曲目でのこの楽曲は、ライブが終演へと向かう寂しさを少し感じさせるのでした。

    しかし19曲目では、馬の骨の楽曲「季節の最後に」を披露し、掘込泰行氏は、再び私達と会えることを予感させるような、新しい期待を与えてくれました。

    おそらく泰行氏はとても繊細で、聴く人の心をいたわる様な優しい感性を持っている人なのだろうと感じさせます。

    そして、サポートメンバーと共に泰行氏も舞台を去り、会場はもちろん、アンコールの一色となり、再び演奏が始まるのでした。

     

    EC1曲目は、アルバム『One』の代表曲として先行配信された「Waltz」

    タイトル通り三拍子であるこの楽曲は、息づかいまで含めて一つの楽曲といえるような、よく耳を澄まして聴く為の音楽ではないでしょうか。

    「エイリアンズ」がキリンジ時代の彼の代表曲と言われているように、「Waltz」もまた堀込泰行名義での活動の中で、代表曲と言われていくのであろうことを予感させる名曲であります。

    そしてEC2曲目、ライブ最後の楽曲となる「銀砂子のピンボール」
    泰行氏はこの楽曲のことを、MCで’パーティーチューン’と言っていました。

    泰行氏といえばのオールディーズの香りがするこの楽曲。
    難解な歌詞がまた、ぶっ飛んでいて楽しいのです。

    もちろんこの楽曲の最後ではツアー各地でも名物となった、サポートギタリストである松江潤とのギター対決が繰り広げられ、観客の緊張感をゼロにしてくれる、最高の暖かいパーティーチューンでライブは終演となったのでした。

    最後に

    福岡イムズホールでのライブ”HORIGOME,YASUYUKI LIVE TOUR 2017”

    とても不思議なライブでありました。

    今日ここに集まった全員と共に、再び掘込泰行氏のライブを見ることはないのだなんてことを考えるような、そんなスケールの大きい空間だったように思います。

    どのような人達がその場に居たのか少し見渡してみると、圧倒的に女性が多く、30代前半である筆者はまだまだお子様でした。

    一番印象に残っているのは、筆者の真後ろに居た老夫婦です。

    曲が終わるたびに小さな歓声を、二人で会話交じりにあげていました。

    「ポップコーン」で前列の人達が立ち上がったときも、ライブの盛り上がっている様子自体を楽しんでいるようでした。

    果たしてその老夫婦は、泰行氏目当てでイムズホールを訪れたのでしょうか。

    ここは音楽の街と呼ばれる福岡。

    この日のような、週末の音楽ホールやライブハウスへは、バンドやアーティスト自体を目的とせず、ただ音楽を聴く場へ行くことを目的に、足を運ぶ人も居るのではないのでしょうか。

    特に、誰を見に行くでもなく、’この日は何の予定もないから、イズムホールでも寄って行ってみるか’なんて会話をした後に、泰行氏のライブへ向かった人達も居たのかもしれませんね。

    想像ですが、なんて洒落ていて素敵な街なのでしょう。

    さすがは音楽の街。
    そんな場所で泰行氏の楽曲と歌声を堪能出来たことを、心から幸せに思うのでした。

    ライブ終演後、街はすっかり華やかな週末の夜となっていましたが、筆者はただただ名残惜しさを覚えたのでした。

    新しい堀込泰行氏のアルバム

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